「築30年って売れないよね。やっぱりやめたほうがいいのかな…?」
中古マンション探しをしていると、駅近で立地も価格も魅力的な物件ほど「築年数の古さ」が気になりますよね。

「買って大丈夫?」「将来ちゃんと売れる?」不安になって手が止まる…私がまさにそうでした
というわたしも、最初は「築浅じゃないと資産価値が下がる」と思い込んで、築古物件を避けていたんです。でも調べるうちに、ある事実を知って考えが変わりました。
実は、築年数よりも“管理状態”の方が、資産価値の維持に強く影響するという調査結果があるんです。
公益財団法人 不動産流通推進センターの調査では、修繕履歴が定期的にあるマンションは、そうでないものより価格下落が緩やかになる傾向があると報告されています(調査研究報告書2022(PDF))。
私もこのデータを知って、「築古=価値が下がる」という思い込みが一気にほどけました。
資産価値が下がるかどうかは、“築年数”だけではなく“管理状態”で決まる――。
この記事では、築古でも後悔しないマンションを選ぶために注目すべき3つの視点を、
- ①「築年数」ではなく「劣化状態」
- ② 修繕履歴と管理状態のチェック
- ③ 将来の出口(売却 or 賃貸)
に絞り、見逃したくないチェック項目をリストアップしてわかりやすく解説していきます。
買ってから「やっぱり良かった」と思えるように、今このタイミングで、判断軸を整えていきましょう。
①「築年数」ではなく「劣化状態」を見る
築年数は、マンション選びの目安としてたしかに重要です。ただ、同じ「築30年」でも、劣化の進み具合は物件によって大きく異なります。
たとえば、同じ築30年でも
- 定期的にメンテナンスされているマンションは、外壁のひび割れやタイル剥がれもほぼなし
- 一方、管理がずさんな物件では、鉄部のサビ・水回りの腐食・雨漏り跡などが見られることも
つまり、“築年数”よりも“建物のコンディション”が資産価値を左右するのです。
新耐震基準かどうかはローン審査や控除にも影響
1981年6月以降に建築確認を受けた物件は新耐震基準に該当します。 この基準を満たしていない旧耐震の物件では、ローンが通らない、または 控除が使えないリスクがあるといった注意点があります。
見た目がきれいでも、「築年数」と「建築確認日」がローンや税制に影響することを知っておきましょう。築40年以上の物件を検討する際は、「新耐震基準かどうか」を必ず確認しておくことをおすすめします。
参考:国土交通省|住宅取得等に係る耐震基準(新耐震基準について)
耐震証明やフラット35の適合証明も活用できる
築古物件でも、一定の基準を満たすと各種優遇制度を受けられるケースがあります。たとえば耐震基準適合証明書が発行されていれば、旧耐震物件でも住宅ローン控除や税金の軽減を受けられる場合があります。
また、フラット35を利用する場合はフラット35適合証明書が必要になります。これは、物件が耐震性・省エネ性などの技術基準を満たしていることを示すもので、特に築年数が経った物件では重要な条件になります。
詳しくは以下の公的資料をご確認ください:
国土交通省|既存住宅の耐震診断と証明制度
住宅金融支援機構|フラット35適合証明技術基準(PDF)
内見時にチェックすべき「劣化状態」のポイント
劣化の進行度は、築年数だけでは判断できません。たとえ築浅でも管理が悪ければ老朽化は進みますし、築古でも丁寧に使われていれば状態が良好なことも。
実際に現地で確認できる“見逃したくないチェック項目をリストアップしておきます。
チェックポイント:
- □ 外壁(ひび割れ・塗装剥がれ)
- □ 共用部(エントランス・廊下・階段の清掃状態)
- □ 鉄部(手すり・ポストのサビや腐食)
- □ 天井や壁に雨漏り跡がないか
- □ 配管や排水口のにおいや詰まり
- □ 建築確認日(1981年6月以降=新耐震かどうか)
- □ 耐震基準適合証明書の有無(築古の場合)
- □ フラット35適合証明書の有無(ローンに活用する場合)
② 修繕履歴と管理状態のチェック


中古マンションの資産価値は「築年数」だけではなく、「管理されてきたかどうか」で大きく変わります。
ここでは、実際に確認しておきたい5つの視点をご紹介します。
修繕履歴は“価格に直結する”重要指標
公益財団法人 不動産流通推進センターの調査(2022年報告書)では、
修繕履歴が定期的にあるマンションは、そうでないものに比べて価格下落が緩やかになる傾向があると報告されています。
チェックポイント:
- □ 大規模修繕が定期的に行われているか(築12〜15年で1回が目安)
- □ 過去に実施された修繕の内容・範囲は?
- □ 履歴が文書で明示されているか(口頭説明だけで済まされていないか)
長期修繕計画書の有無と中身の確認
将来の見通しが立っているかどうかは、管理の質を見抜くうえでの判断材料になります。



長期修繕計画書は、管理組合が将来を見据えているかどうかの“意識のバロメーター”
「これまで何を直してきたか」だけでなく、「これから何を直していく予定か」も重要です
チェックポイント:
- □ 長期修繕計画書が存在しているか
- □ 計画年数が10年以上先まで記載されているか
- □ 実施予定の内容が現実的で具体的か
修繕積立金と管理費のバランス
積立金が安いと“得した気分”になる…それ、実は危険です。
管理費や修繕積立金の滞納率が高かったり、赤字運営になっているマンションは、将来的に必要な修繕が計画通りに行えないリスクがあります。
総会の議事録や決算書類を確認することで、そのマンションの“お金の健康状態”をチェックすることができます。
チェックポイント:
- □ ㎡あたり200〜300円/月前後が相場
- □ 大規模修繕に見合った積立残高があるか
- □ 管理費とセットで見たときの月額負担は許容範囲か
- □ 滞納者の割合や赤字運営になっていないか
- □ 総会資料や決算書で財務状態が確認できるか
管理組合が“機能しているか”を見抜く
管理組合がしっかり機能しているマンションは、トラブルが少なく、長期的に資産価値も維持されやすい傾向があります。反対に、形だけの管理組合や活動が停滞している場合、修繕の遅れや居住環境の悪化を招くことも。
理事会が開かれていなかったり、情報共有が止まっているマンションでは、資産価値にも影響します。



“総会なんて関係ない”と思ったら大間違いです!
内見時には、組合の“運営の気配”を感じ取りましょう。
数字に出ない部分こそ、資産価値に差が出るんです
チェックポイント:
- □ 掲示板に最新の通知や回覧があるか
- □ 管理会社の対応(常駐 or 巡回)を確認
- □ トラブルや修繕の対応スピードも見極めポイント
共用部・ゴミ置き場・掲示板は“管理の鏡”
共用部は、目には見えにくい「住まいの質」を反映する場所です。 ゴミ置き場や掲示板、廊下の清掃状態を見れば、そのマンションがどのように管理されてきたかが自然と伝わってきます。 共有スペースも、自分の家の一部だという感覚でチェックすることが大切です。



清掃状況や掲示板、ゴミ置き場は“現場のリアル”が見える場所です
チェックポイント:
- □ ゴミ置き場が清潔に保たれているか
- □ 掲示板が整理されているか(古い掲示はないか)
- □ エントランスや共用階段の掃除状況
リノベーションという選択
築古でも管理状態が良く、立地に納得できる物件に出会えたなら――
あとは「どう住むか」を考えるだけ。
そんなとき、**「中古×都心で予算内」**という選択肢にリノベーションという手段があります。
③ 将来の出口(売却 or 賃貸)を見据える


購入時は「ずっと住むつもり」と思っていても、人生は変化するもの。
転勤、介護、結婚、住み替え、老後の資金…想定外のタイミングで「手放す」選択が必要になることも。
だからこそ、“いざというとき”にも資産として機能する物件かどうかを、購入前から見極めておくことが大切です。
いずれ「手放す日」は来る
転勤・ライフスタイルの変化・老後の住み替え…。
いつか「売る」「貸す」という選択をする時期がくるかもしれません。
だからこそ「将来も需要があるか?」を購入時から意識しておくと安心です。
「出口の強さ」は立地と管理で決まる
出口の強さ=将来の売却力・賃貸力とも言えます。
将来、住まなくなったときに“貸せる”選択肢があることも、資産価値を維持するうえで大きなメリットになります。
特に単身者向けの1LDKなどは、「老後は売る」ではなく「貸す」という選択を取りやすいタイプでもあります。
チェックポイント:
- □ 駅徒歩10分以内
- □ 人気エリア or 再開発が進む立地
- □ 管理状態が良好(修繕積立・清掃・管理組合など)
- □ 単身者 or ファミリー向けなど明確な需要層がある
売却か?賃貸か?出口シミュレーションをしておく
実際の売却価格や家賃相場を知っておくだけでも、購入判断の精度は大きく変わります。
あらかじめ「この条件なら売れる/貸せる」という目安を持っておくと、いざというとき慌てずに済みます。



ざっくりでもいいから、“この物件なら将来どう手放すか”をイメージしておくのがおすすめです。感覚ベースでも、あとで『買っておいてよかった』って思える確率が高まりますよ
チェックポイント:
- □ 同エリア・築年数の売却価格を調べる
- □ 家賃相場を調べる(条件の近い事例で)
- □ 無料査定サービスを利用して感覚をつかむ
まとめ:築年数にとらわれず、「中身」で選ぶ
「築30年だから古い」ではなく、 「築30年だけど、管理されているから資産価値が落ちにくい」物件もあります。
本当に見るべきなのは、
- 劣化の程度(状態)
- 管理状態と修繕の履歴
- 将来の出口戦略
これらを確認することで、築古でも“買ってよかった”と思える物件に出会える可能性は十分にあります。
むしろ、築年数を理由に価格が抑えられている物件でも、管理状態や修繕履歴、立地条件がそろっていれば「資産として狙い目」と言えるケースもあります。 条件を見極めれば、築古=不安ではなく、安心して選べるチャンスに変えていけます。
中古マンションの本当の価値は、「築年数」ではなく「どう管理されてきたか」。
あなたの選ぶ1件が、数年後も価値ある住まいでありますように。